農薬を使わずに世界人口を養えるのか?『モンサントの不自然な食べ物』の監督マリー=モニク・ロバン氏は、この問いの答えを得ようと南米やアフリカなど世界各国のアグロエコロジーの事例*を取材。
メキシコでは、インゲン豆、トウモロコシ、かぼちゃを混作する伝統的農法ミルパが昔から引き継がれ、地域コミュニティの食料主権を保障してきた。ケニアでは、研究者により開発されたプッシュ・プル農法が、害虫からトウモロコシを守るとともに副産物を生み出し、小規模農家に収入増加をもたらした。日本生まれの「提携」制度も霜里農場(埼玉県小川町)を例に紹介されている。
多くの専門家へのインタビューを交えながら、「緑の革命」** 以降推進されてきた農業食料システムの問題点を指摘し、アグロエコロジーの可能性・優位性を示す。
*1980年代から広く認識され始めているアグロエコロジーは、農薬を使わない持続可能な農法に留まらず、生産者と消費者の連携、小規模農業の収入増加、地域の循環等、経済的社会的要素も多く取り入れた科学であり運動でもある。