アジア太平洋戦争末期。日本はあらゆる人的物的資源を戦争遂行に投入する総力戦体制にあった。村では男たちは戦場に駆り出され、農地から食べられない花や桑、腹の足しにならない果実は引き抜かされ、芋畑に変えさせられた。
温暖な気候を利用して東京向けの花産地として成功していた房総の村でも、花を抜き取り、種や球根は焼き捨てるようという国の方針に沿って花畑は次々と姿を消した。房総の村では男は漁、山の斜面に張り付くように作られた畑は女衆の領分だった。
そのひとりハマは花を守って最後まで静かな抵抗を続けるが・・・。事実を丹念に掘り起こして作品化した田宮虎彦『花』を映画化。
16mmフィルムによる上映
映画上映終了後【トーク】 14:26~15:26
この国で軍事化が急速に進んでいます。それは経済、文化と表現、教育、そして農と食にも食料安全保障という名目で入り込んでいます。農業生産と流通を国家管理に組み込み、従わないと〝非国民〟として抑え込む。『花物語』にみる銃後農村の現実を今に重ねて、会場をまじえ語りあいます。
参加者:永田浩三氏(武蔵大学教授)・ 西沢江美子氏(農業ジャーナリスト)・上野香氏(三里塚ワンパック野菜) ・大野和興氏(司会・当映画祭運営委員)