東京都世田谷区の住宅地の一角に大きな欅の木が茂る大平農園の母屋がある。その落葉は、昔ながらの方法で発酵させて堆肥となる。落葉堆肥で作った苗は、やはり住宅地の一角の畑に植えられる。大平博四さん亡き後、畑はボランティアにより維持されてきた。園主の高齢化で、砂漠に浮かぶオアシスのような大平農園の畑はどうなるのか? 前作『大平農園401年目の四季』の危機的な状況はより深刻になる。しかし、春の種まき、定植、収穫、堆肥作りと農作業は淡々と続く。都市農業の可能性と、日本の農業が抱える後継者問題を描く。