有機農業って何だろう!
10年目を迎えた国際有機農業映画祭で、日本における有機農業運動の創設者のお一人、山形・高畠町の星寛治さんを迎え、改めて有機農業の思想と実践を語り合うシンポジウムを開催します。グローバル化が進む中で、世界中どこでも農民の存在が消されようとしています。そんな中で有機農業がもつ意味をとらえ返し、農と食、人の生き方、世界のありようを考えます。(共同代表 大野和興)
◆趣旨
日本の有機農業は1970年代初頭、社会運動のひとつとして動きだしました。“殺す技術”としての農薬を軸とする現代農業技術体系に対し、土・微生物・自然を掲げて、大規模ではなく小規模、競争ではなく共生、効率ではなく循環と持続を対抗軸として位置づけたのです。生産者と消費者という近代社会が生んだ分業を否定し、交換と価格決定についての別のやり方、考え方を具体的につくりだしました。単なる考え方、思想ではなく、農業生産と農産物交換の場で具体的な行為としてつくりだしたところに、有機農業運動のすごさがあったとおもいます。国際有機農業映画祭10年を迎え、有機農業が持つこうした意味を改めてかみしめ、これからのありようを考えます。
基調講演 星寛治さん(山形県高畠町 百姓)
仲間の若い農民とともに、失敗を繰り返しながら土を軸とする有機農業の技術体系をつくりあげると同時に、それを地域ぐるみの運動に発展させ、さらには都市の消費者との連携をつくりだします。有機農業を個別農家の実践にとどめるのではなく、地域、都市と農村をつなぐ運動につくり上げたのが星さんでした。また、有機農業は一部の豊かな人のものではなく、貧しい人と手をつながなければならないといつも主張されています。星さんには、これからの世代に何を託すか含め、星思想をざっくばらんにお話し下さいとお願いしています。著書に『かがやけ野のいのち』(筑摩書房)、『農からの発想』(ダイヤモンド社)『農は輝く』(創森社)など多数。
パネリスト 稲葉光國さん(栃木県、民間稲作研究所代表)
有機農業運動が積み上げた技術体系の最先端に位置されている稲葉さんは、技術者であると同時に、その技術をひっさげ国内やアジアで地域に入り、有機農業を実践的に伝え、指導しておられる実践者でもあります。稲葉さんにはそのことを通して社会に何を訴え、なにを創ろうとされているのか、その思いをお話しいただきます。
パネリスト 関塚 学さん(栃木・百姓)
関塚さんには、これからの有機農業を担う世代として、時代や社会に何を訴えたいかを日常のお仕事、
実践をご紹介いいただきながらお話いただきます。