真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。約80年前、足尾山地を源とし、その恵を受け農業と漁業が盛んであった渡良瀬川は、流されてくる鉱毒で魚は死に絶え農作物は枯れていった。富国強兵の下に田畑山野が鉱毒に滅び、いのちが富のために捨てられる。被害民たちは足尾銅山の鉱業停止を求めて立ち上がった。その中心にあり、運動を指導したのは自らを「下野の百姓なり」と言う田中正造であった。